企業内保育園は、保育園の形態(種類)でわけると小規模保育園に入ります。
「企業内保育園」には、どのようなイメージをもっていますか?
- アットホームな雰囲気
- スタッフがい和気あいあいとしている
- ゆったりと時間が流れている
こんな風に思う人も多いのではないでしょうか。
子どもの人数が少なく、ゆったり関わることができるのは魅力的ですよね。
実は、私も「働いてみたいな」と思い、実際に企業内保育園へ転職した経験があります!
そこで今回は、企業内保育園で働いて感じたメリット・デメリットを紹介します。
企業内保育園とは?
企業内保育園とは、企業で働く従業員の子どもを預かる小規模保育園をいいます。
形態としては、「地域型保育事業」のうちの1つです。
地域型保育事業は、さらに次の2つの区分にわけられます。
- 事業所内保育所
- 企業主導型保育所
対象年齢や運営形態といった違いはありますが、どちらも企業が自社従業員の子どもを預けるために設置された保育園です。
会社のなかに施設があるケースもあれば、建物は違えど同じ敷地内にある場合もありますね。
私が勤務した企業内保育園は、会社と少し距離がありました。
とはいえ、もちろん歩いて行き来できるほどの距離です。
企業内保育園のメリット
企業内保育園のメリットを紹介します。
子ども一人ひとりに向き合える
子どもの人数が少ないので、一人ひとりに目が行き届き、じっくり関わることができます。
大規模保育園の場合、子どもの人数が多く、目立つ子や月齢の低い子にどうしても手をとられてしまいませんか?
その結果、手のかからない子や穏やかな子は「大丈夫」「安心」と思われ、埋もれてしまいやすいです。
全員を気にかけてはいるものの、やはり保育士も人間なので、目が届く範囲に限界があります。
一方、小規模保育園は、もともとの子どもの母数が少ないです。
くわえて、「必要な職員数+1人追加」で保育にあたることになっているため、手厚い保育が可能。
子ども一人ひとりにしっかり向き合いながら、成長をサポートできます。
行事の負担が少ない
行事の負担が少ないこともメリットです。
行事の大きさは、保育園の規模に比例して大がかりになることも少なくありません。
大規模なイベントが多いと、おのずと保育士の負担は大きくなりますよね。
行事がない・または、あっても小規模の場合、準備が少なくて済みます。
準備が少ないということは、残業する必要もないということ。
保育士の負担は軽くなりますね。
土日休みが多い
企業内保育園は、一般的な保育園に比べて土日休みが多い傾向があります。
なぜなら、企業内保育園の開園は、会社のカレンダーが基準になっているからですね。
私が以前勤めていた企業内保育園も、土日祝日やお盆・年末年始など、企業の日程に合わせて開いていました。
もちろん、土日も仕事がある企業の保育園は、開いているところもあるかと思います。
そのため一概にはいえません。
しかし基本的に企業内保育園は、その企業の従業員の子どもを預かる施設です。
なので会社が休みであれば、保育園も休みになる可能性が高いといえます。
すぐに保護者と連絡がとれる
すぐに保護者と連絡がとれる点もメリットでしょう。
未就学前の子どもは、突発的に熱をだしてしまうことも珍しくありません。
「午前中は元気だったのに、お昼寝後、突然ほっぺが真っ赤に!」
体温をはかると高熱だった、という経験のある保育士さんも多いのではないでしょうか。
一般的な保育園では、保護者に電話を入れると、お迎えまでに30分ほどかかる家庭もありますね。
しかし、企業内保育園の保護者は、目と鼻の先。
すぐに連絡がとれ、すぐに対応してもらえます。
企業内保育園のデメリット
メリットがあれば、デメリットもあります。
企業内保育園のデメリットは次のとおりです。
保護者全員が知り合い
上述しましたが、保護者=従業員=顔見知りです。
地域の子どもの受け入れもおこなっている保育園であれば、知らない顔ぶれもありますが、ほぼ全員が顔見知り。
そのため、玄関先で立ち話しをされたり、終業時間に合わせて一気に忙しくなったりします。
「あれ?〇〇ちゃんまだいる~。私より先に〇〇さん退勤してたけど…?」という声を聞いてしまうシーンも…。
聞かなければわからなかったことを知ってしまうと、保護者に対して、かえって「不信感」を抱いてしまいますよね。
保護者の輪があるからこそ感じるデメリットといえます。
すぐに噂になる
ほとんどの保護者が同じ職場です。
つまり、良くも悪くもすぐに噂になります。
たとえば、職場内で保護者同士が他愛もない話をしていたとしましょう。
そのなかで1人の保護者がポロっと保育園の対応の話しをしたとします。
私、今週の〇曜日、仕事休みなんだけど美容院に行きたくて。
「子どもを預かってほしい」ってお願いしたら、特別にOKもらえちゃった!
このあと、どうなると思いますか?
- 「えっ!そんな対応してもらえるの?今度私もお願いしてみよっと!」
- 「私、前に似たようなことでお願いしたとき『基本、仕事が休みの日は…』って断られたよ?」
- 「〇〇さん(先生)にいうと、OKしてくれるよ!」
こういった会話が展開されていきますよね。
このあと、断れば「不公平」「不平等」「ひいき」といわれ保育園にクレームが…。
反対に認めてしまうと、今後こうした事例が増え「当たり前」になってしまいます。
保護者優位な側面がある
保護者優位な側面があることも、否定できません。
私が以前勤めていた企業内保育園の園長先生は、保育園にかかわりのない企業の方でした。
保育園の運営も、役所ではなく会社から委託された「保育事業を展開している企業」がおこなっていました。
正直な感想としては、保育園というより、もっとサービス業に近かったです。
「大事なお客様のお子さまをお預かりしている」といった感覚で保育がおこなわれるため、保護者の要望にはできるだけ対応します。
保育園では「お断り」するであろう要望に対しても、応えることがありました。
保護者(従業員)が減ると、経営難にも直結するので、どうしても保護者優位になってしまう側面があるのかもしれません。
まとめ
企業内保育園は、少人数で保育がおこなえます。
子ども一人ひとりと向き合うことができるので、じっくり・ゆったり関わりたい人にはピッタリです。
イベントもほとんどなく、持ち帰り仕事が少なくて済むのも魅力的なポイントでしょう。
一方、保護者が従業員だからこそ対応が難しい、といったデメリットもあります。
保育園の形態や保育方針は、各園によってさまざまです。
メリットもあれば、デメリットもあって当然なので、一概に「ここがいい」とはいえません。
だからこそ、自分の「やりたい保育」に合った保育園選びが大切です。
保育士の働き口は、保育園だけではありません。
働き方に迷っている人は、企業内保育園の保育士として勤務する働き方も視野にいれてみてもいいかもしれませんね。
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